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おさめておくこ

様に口をそろえていうのは、マロウンが無法と暴力の巣窟を一掃しようとして働きすぎていたうえ、事件の特定の様相はまったくもって衝撃的なものだし、思いがけない悲劇は最後のつけたしのようなものだということだった。これは誰でも理解できる単純な説明で、マロウンは単純素朴な男ではなかったから、それでよしとしておいたほうがいいことを悟った。想像力のとぼしい者に、あらゆる人間の概念を超える恐怖――太古の世界からもたらされた邪悪でもって癩《らい》や癌《がん》に冒されたような家屋や街区や都市の恐怖――をほのめかしたところで、安らかな田園生活をおくるかわりに詰物のされた独房に収容されるにすぎず、ともかくマロウンは神秘主義者でありながらも良識のある男だった。異様なものや隠されたものを見抜くケルト人の深い洞察力を備えながら、一見して納得のできないものに対しては論理家の鋭い眼力をもあわせもち、この二つが交錯することで、四十五年間の人生のうちに遙か遠くへと導かれていき、フェニックス・パーク近くのジョージア王朝様式の邸宅で生まれ、ダブリン大学を卒業した者にしては、さまざま風変わりな場所に足を踏みこんでいるのだった數碼通寬頻
 そしていまマロウンは、自分が目にし、感じ、恐れたことを思いかえしてみるにつけ、剛胆な闘士をも震えおののく神経症患者におとしめてしまい、はたまた古い煉瓦造りの貧民窟や無数の名状しがたい陰気な顔という顔を、悪夢めいた凄絶《せいぜつ》な意味をはらむものにかえてしまうような、慄然《りつぜん》たるものの秘密を、一人自分の胸にだけとに満足した。自分の心情を人に知られないようにせざるをえないのは、何もこれがはじめてのことではないのだから――そもそもニューヨークの暗黒街

という、さまざまな言語の飛びかう深淵《しんえん》に身を投じた行為そのものが、理にかなった説明のできない粋狂な行為ではなかっただろうか。病んだ時代のさまざまな澱《おり》のすべてがその毒素を混ぜあわせ、忌《いま》わしい恐怖を不滅のものにしてしまう、そういった有害な大釜の只中で、鋭敏な目にだけ見わけられる古代の妖術やグロテスクな驚異について、凡人に何が語れるだろう。外には貪欲《どんよく》を示し内には冒涜《ぼうとく》をはらむ、この騒然としたとらえどころのない混乱のなかに、マロウンは秘められた驚異の地獄めいた緑色の焔を認めており、職務のかたわら実地におこなっている試みを、誰かれとなく顔見知りのニューヨーク市民にひやかされると、やさしい笑みをうかべたものだった。連中ははなはだ機智にとむ皮肉家ぞろいで、不可知の神秘を探ろうとするマロウンの突飛な企航空


てを愚弄《ぐろう》して、最近のニューヨークには安っぽいものや俗悪なものしかないことを請《う》けあうのだ。そんな一人がいつだったか――『ダブリン・レヴュー』にはマロウンの面目をほどこす強く心に訴える読物が数多く掲載されているにもかかわらず――ニューヨークの下層生活をあつかった真に興味深い短編小説一つ書けるものかといって、大金を賭けたことがあったが、いまふりかえってみると、宇宙的な皮肉とでも呼ぶべきものが、連中の軽佻《けいちょう》浮薄な考えを暗に論破する一方で、この予言者の言葉を正当化していることが、それと察しられるのだった。最後に瞥見《べっけん》した恐怖はとうてい小説にできるようなものではなかった――ポオがドイツ人の権威による評言を引用した書物のように、「解読されることを許さない」ものだったからである 數碼通月費

マロウンにとって、この世に潜む神秘を知覚するのは日常茶飯事のことだった。若い頃はさまざまなものに隠された美や恍惚《こうこつ》を感じとり、詩人ともなっていたが、貧困と悲痛と流浪にみまわれたことで暗黒面に目をむけるようになり、まわり
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