かれは耳ざわりな声で続け

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かれは耳ざわりな声で続け

宦官サディはここ数年来、スシス?トールの宮殿に行きわたった礼儀正しい如才なさに慣れ、注意がいささか散漫になっていた。それを見抜いた同僚の一人が機会に乗じて、毒を盛った。それはサディにとってはまったく不愉快な体験だった。解毒剤は皆ひどい味がして、後遺症のために頭の働きが鈍りがちになった。かすかないらだちを押し隠しながら、鎖かたびらをつけたタウル?ウルガス王の勅使をむかえたのは、そんなときだった。
「マーゴ王タウル?ウルガスは永遠なるサルミスラ女王の侍従長サディ殿に謹んでご挨拶を申し上げます」サディが国務の大半を処理する薄暗い、ひんやりした執務室に入ってくるなり、マーゴ勅使は深々と頭を下げて、とうとうと挨拶をのべた

「蛇神の女王の侍従長より、アンガラクの竜神の右腕に、謹んで返礼申し上げます」サディはそっけなく決まりきった挨拶を返した。「ご用件をうがかいましょうか? わたしは今日気分がすぐれないもので」
「すっかりご回復なされたようで、まことに喜ばしいことです」顔に傷のある勅使は、無表情を取りつくろいながら、嘘を言った。「それで、毒殺者は逮捕されたのでしょうね」男は椅子を引き寄せると、サディが書き物机に使っている磨かれたテーブルの向かい側に腰を下ろした。
「むろんですとも」サディは何とはなしに剃髪した頭をかきながら答えた。
「もう処刑なさったのですか」
「なぜ処刑しなければならないのでしょう。かれは毒殺の専門家で、なすべきことをしただけのことです」
 マーゴ人はいささかおどろいたようだった。
「優秀な毒殺者は国の役にたつものです。誰かに毒を盛るたびに犯人を処刑していたのでは、すぐに毒殺者はいなくなってしまいます。そんなことになったら、もしわたしが誰かに毒を盛りたいときは誰に頼めばよいのでしょうDream beauty pro 脫毛
 マーゴ勅使は信じがたいといったおももちでかぶりをふった。「いや、あなた方はじつに驚くべき抱擁力の持ち主ですな」た。「それではかれの雇い主の方はどうしたのですか」
「それはまた別の問題ですな。かれの雇い主は今ごろ川の底でヒルを喜ばせていることでしょう。ところであなたのご訪問は公式のものですかな、それとも単にわたしの健康を気づかってお立ち寄り下さったのですか」
「その両方です、閣下」
「あなた方はなかなか実利的でいらっしゃるようだ」サディはひややかに言った。「それでタウル?ウルガス王は何をお望みなのですか」
「アローン人どもが、ミシュラク?アク?タールに侵入しようと、軍備を整えております」
「そんな噂も聞いてますね。それがニーサといかような関係があるのでしょう」
「ニーサがアローン人を好いているとは思えませんが」
「マーゴ人を好いているとも思えませんがね」
「リヴァ王亡きあと、ニーサを侵略したのはアロリアですぞ。それにニーサにとっての主要な交易相手はクトル?マーゴスではありませんか」
「どうか本題に入っていただけませんか」サディはうんざりしたように頭を撫でた。「わたしどもは長年の怨恨にも友好にも、もはや左右されることはありません。奴隷取引はさほど重要なものではなくなっていますし、アローン人による侵略の傷痕はもはや数世紀も前に回復されているのです。タウル?ウルガス王はいったい何をお望みなのですかな」
「わが国王はむだな流血を避けたいと願っておられるのです」マーゴ勅使は述べたてた。「トルネドラ軍は、現在アルガリアに集結している軍隊のなかでも重要な役割を果たしております。もし無防備になっているニーサとの南の国境で、何らかの脅威が――むろん、あくまでも脅しだけですが――生じれば、ラン?ボルーンは自分の軍隊を呼び戻さねばならないでしょう。トルネドラ軍が戦線を離脱すれば、アローン人も無謀な行動には踏み切れなくなるでしょう」
「トルネドラを侵略しろとおっしゃるのですか」サディは疑い深げに聞き返した願景村

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